★「ペーターズギャラリーコンペ2019受賞者展」
地下鉄、明治神宮前から徒歩10分ペーターズギャラリーに行ってきました。このギャラリーは過去にMJ展を何回か開催したギャラリーです。
4人の審査員賞と審査員賞次点の8人の展覧会ですが、上田三根子賞と藤田知子賞をダブルで取った石松チ明さんがやはりダントツに良かったです。バックの赤・青・黄の原色は、日本画絵具で厚みがあって見た目より重厚感があり、繊細なタッチのペン画です。
藤田知子賞次点の諸星朋子さんはMJ8期生、シーチングの未晒しの布地に描いた絵はざらついた質感が印刷時にも反映されそうで、淡い色使いの女性の顔がとにかく魅力的で良かった!
★夜久かおり個展「遠い町」
裏道のゆるい坂を上ったり下がったりして表参道の裏側にあるHBギャラリーへ。
繊細で色合いに奥行きがあるので、作者と話をしてどう描いているのかを聞いてみました。色のついたラシャ紙にボールペンで描いているとのこと、特に白のボールペンは効果抜群。版画のようにも見える奥行き感は下にコピックで薄く色を付けてからボールペンで描いているのだそうで、仕上がりが新鮮だったのでアップで絵の一部分を撮って見ました。
★東久世原画展「すこしおなかすいてきた」
表参道から246にぶつかった角にある山陽堂書店の2階のギャラリー、絵本の原画展に行きました。
林木林 作・東久世 絵です。この絵のすべてがブルー系1色で描いてあるので、挿絵のような描き方だけれど、難しかっただろうと思いました。描き方にすごく苦労していて落ち込んでいたことなど彼女から聞いていたので、この絵本が出来上がったときの嬉しさは格別だったと思います。
ラフスケッチから校正1.2.3と作っていく段階も見られて興味深かったです。
★グループ展「Black & White part1」
表参道から外苑前にあるギャラリーダズルでのグループ展、白黒だけで描いた展覧会です。MJからも2人参加しています。
もんくみこさんはデジタルで描いていますが同じ絵をアナログで描き直すという面白い提案でした。実際の挿絵の仕事はデジタル、パキッとキリッとした味わいの絵が、絵具と筆で手で描くと、曖昧な優しさが出てゆるい奥行き感が効果的で、どちらも捨てがたい味わいがありました。
藤安初枝さんは日本画の勉強をしていたそうで、白が何層も重なって白、グレー、黒と移っていく様がとても綺麗でした。
3枚めの出口瀬々さんはペンで描いた絵をキャンバスに印刷したものだとか。油絵に使うキャンバス布の荒いマチエールと繊細な線との重なり合いが、対照的で美しい仕上がりになっていました。
今回見たイラストレーションはどれもマチエールや質感が良くて原画の強さの印象が深かったけれど、実際、印刷物になった場合に効果が出るかどうか、アートとは違う何かを表現する難しさを感じました。
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前田なんとか (水曜日, 26 2月 2020 12:23)
MJブログからやってきました前田なんとかです。
いつもそれを考えていました。最終的に印刷物になったときの原画とデジタル双方の良さや、アートとイラストレーションの境目についてです。いろんな言葉をあてていろんな人が色々いうのを聞きながら、納得するようなしないような日々です。自分なりの解釈はありますが、正解は出るものなのか、表現の仕方次第じゃんと突き放さずに常に考えています。
kato-kayoko (水曜日, 26 2月 2020 16:17)
今回行ったギャラリーは、微妙で美しい表現の絵がほとんどだったので、MJブログに載っていたダズルでのグループ展にコメントを入れたのです。
なんとかさんが来て下さってビックリ! こんにちは!コメントありがとうございます。
以前、日本の現代日本版画の第一人者で藝大の名誉教授である野田哲也氏のインタビューを読んだことがあります。
野田氏は純粋に自分との深い関わりのものをテーマにしているアーティストですが、そのインタビューの中で、イラストレーターの矢吹申彦さんの言葉に、なるほど、と思われた言葉があるそうです。
「作家の内なる欲求によって描かれたものがアート。一方、イラストレーションの本来は、与えられたテーマをいかに絵解きとして表現するかというもの。」
私も、なるほど!って思いましたよ。正解は各々によって違うかもしれないけれど、こうして名を成した人の言葉はシンプルで分かりやすく、理屈付けの必要も無いですしね。
自分ではよく言い表せないので人の言葉を借りてみましたー。
ちなみに、大昔、自分が高3の受験時の予備校で、藝大の助手だった野田氏にデッサンを1年間教わっていました。
前田なんとか (水曜日, 26 2月 2020 17:57)
すごい方にデッサンを!
あ、おじゃましています^^
そうだ、合同授業のときにも矢吹さんがおっしゃってました。アートとイラストレーションの解釈がすごく腑に落ちたのを思い出しました☆ありがとうございます!
kato-kayoko (水曜日, 26 2月 2020 19:57)
その頃の野田氏はまだ20代で、若くて元気でハツラツとして楽しいお兄さんでしたよ。
野田氏は予備校の講師なので、教わった予備校生は何人もいて私は単にその中の一人だっただけです〜。
今、コロナウィルスで、MJの授業は教室ではなくてパソコン通信なんですってねー!
なんとかさん、またどこかで会える日まで!